パンジャブにおけるプロジェクト
ディロン・マーティ財団では「パンジャブ」にまつわるアートを展開するプロジェクトを計画している。この地における人道的問題を訴えかけ、パンジャブ地域の村に展示し、その模様をネットを通じ世界に発信していきます。
村から村へと芸術を通じて、パンジャブに対する理解、そして平和を呼びかけたいと考えています。
パンジャブ、5つの川
パンジャブの人々の思いと同様に、私も常にインドにおけるプロジェクトについて、考えてきましたが、すべては、2012年キエフ・ビエンナーレへの旅行中に思いついた一つのメモから始まりました。
「5」を意味する「Punj」と、「水」を意味する「ab」・・・
国際的な歴史学者でさえもきちんと理解していなかったこの「パンジャブ」という言葉の持つ意味。その理解を深めるため、プロジェクト名を「The Five Rivers – 5つの川」と名づけ、スタートしました。
この作品は漢字の「川」を模した、3つの垂直な線から成り立っています。この3つの線とその間にあるスペースが5つの地域(Jhelum, Chenab, Ravi, Stulej, Beas)を表現しています。
これらの川はインダス川の支流として、何百年もの間パンジャブ地方の活力となり、パンジャブの文化を定義づける重要な役割を果たしてきました。その結果、この地方の名前となったのです。
1947年、インドの分裂により多くの血が流されましたが、パンジャブにおける文化的団結は強いものとなっています。同じ食物を食べ、同じ言語を話 し、同じ芸術を好み、同じ文学を読み、同じ哲学を崇拝するパンジャブ地方に住むインド人とパキスタン人。にも関わらず、政治的な境界線により人々の生活は 分断されています。
このプロジェクトには、政治的な違いを超越し、同じ先祖を持ち、この川の水の恵みにより栄えたパンジャブの人々の心が繋がるようにとの希望が込められています。
世 界において比喩的に大きな意味を持つ言葉である「水」。仏教、神道、イスラム教、ヒンドゥー教、多くの宗教で水が清めの象徴として使われている他、キリス ト教の洗礼でも、再誕生・神の恩恵として水が利用されます。又、水は願いごとを成就させるための仲介でもあり、子供達は願い事をこめて噴水にコインを投げ たり、人々はガンジスに祈りを捧げます。そういった概念をプロジェクトに加えつつ、パンジャブへの思いや人々の願いを世界中から募り、下記のスペースに載 せていきます。その中から定期的にディロン・マーティが5つの川のプロジェクトに選び、インスタレーションに活用。願いは叶えられ、洗礼を受け、再生し、 水による恩恵を受けることになります。